塩分の過剰摂取と遺伝的体質が原因

高血圧は、「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の二つに大きく分けられます。本態性高血圧は、特に明らかな異常がないにもかかわらず血圧が高くなる場合をいいますが、実は高血圧の約90%は本態性高血圧です。一方、二次性高血圧は、腎臓病(慢性腎不全や腎血管性高血圧など)やホルモン異常(原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症など)、睡眠時無呼吸症候群といった高血圧の原因となる病気が存在する場合で、高血圧の約10%を占めています。
今「本態性高血圧には明らかな原因がない」と述べましたが、高血圧の発症には、生活習慣と遺伝的な体質の両者が関係していることがわかっています。特に日本人の場合は、塩分の過剰摂取が大きな原因の一つと考えられています。

なぜ塩分の摂り過ぎが問題なのか?

塩分(ナトリウム)を摂り過ぎると、血液中の塩分濃度が上がらないように脳が働いて、水分を保持して薄めようとします。そのため体内の水分が多くなり、血液の全体量が増大し、心拍出量が増すことで血圧が上昇するのです。また、その他の血圧を上げる要因として運動不足、肥満、喫煙、ストレス、過労、加齢による血管の老化などが挙げられています。

遺伝的な体質について

例えば両親とも高血圧の場合、高血圧になる素因を子供が持つ確率は1/2、親のどちらかが高血圧の場合は1/3、両親のどちらも高血圧でない場合は1/20という報告があります。ただし、これはあくまで高血圧になりやすい遺伝的因子の割合であり、本当に高血圧になるかどうかは生活習慣によって変化する可能性があります。