高血圧の薬は一生飲み続けないといけないのでしょうか?

高血圧治療の目的は、血圧を下げることそのものではなく、血圧を下げることで心臓肥大や動脈硬化を防ぎ、最終的には心筋梗塞や脳卒中を予防することにあります。そのためにはよい血圧を維持することが非常に大切です。
高血圧の薬(降圧薬)は血圧を下げてくれますが、効果が切れると血圧は元に戻ってしまいます。ですから、よい血圧を維持する(=心筋梗塞や脳卒中を予防する)ためには降圧薬を飲み続ける必要があるのです。
ただし、減塩や減量・禁煙などによって降圧薬が中止できる場合もありますし、中止できなくても薬の数を減らせる場合もあります。特に夏期は冬期に比べて血圧が下がりやすいので、降圧薬を減らせる可能性が高くなります。家庭血圧を測定して、低い値が続く場合は主治医に相談してみるとよいでしょう。

高脂血症の薬は何故夕方に飲むのでしょうか?

確かに、以前は高脂血症の薬を夕方に服用するように指導することが多かったようです。それは、スタチンと呼ばれる薬の効き方に理由があります。
そもそも体が必要とするコレステロール量のうち、食事から摂取している量は約30%に過ぎません。残りの70%は体内で作られており、その多くは夜間に肝臓で作られています。スタチンは肝臓でのコレステロールの合成を抑える薬なので、朝飲むよりも夕方に飲んだ方が効果が高いというのが主な理由だったのです。しかし、現在のスタチンはコレステロールを下げる力が強いため、必ずしも夕方に飲む必要はありません。朝食後でも構わないので、忘れずに服用してください。

降圧目標は皆同じなのですか?

高血圧の基準は、年齢や持病の有無に関わらず同じです。ですから80歳の人でも、30歳の人でも、血圧が140/90mmHg以上なら高血圧であるといえます。しかし、降圧目標は年齢や持病の有無によって変わってきます。例えば、通常は140/90mmHg未満を降圧目標とするのに対し、75歳以上の後期高齢者では150/90mmHg未満を降圧目標(ただし可能なら140/90mmHg未満が最終目標)としています。また、糖尿病患者や尿蛋白陽性の慢性腎臓病患者の場合は130/80mmHg未満が降圧目標となり、通常より厳しい管理が求められています。

糖尿病の薬は時間どおりに飲まないといけないのでしょうか?

薬の種類によって異なる、というのが正しい答えでしょう。α-グルコシダーゼ阻害薬や速効型インスリン分泌促進薬は、食後の高血糖を抑える目的で使用するため、毎食直前に服用する必要があります。一方、チアゾリジン薬やDPP-4阻害薬などは1日1回の服用でよいこともあり、多少時間がずれても大丈夫です。またインスリンに関しては、速効型や持効型など種類によっても多少変わりますが、原則として時間を守って注射を行う必要があります。

しかし、薬の服用時間と同じぐらい重要なことがあります。それは、食事を決まった時間に摂る、ということです。糖尿病の薬は、食事を摂って血糖が上昇することを前提として処方されていますので、食事を摂らずに飲んだ場合や、食事と食事の間が空いてしまった場合などに低血糖を起こすことがあるからです。また同様に、病気などで食事が摂れない場合も、一時的に薬を減量したり休薬する必要があるかもしれません。その一方で、病気の際には体内でのインスリンの必要量が増すため、食事を摂っていなくても高血糖に陥る場合があります(シックデイ)。体調が悪い場合は早めに主治医に連絡し、指示を仰ぐことが大切です。