「生活習慣の修正」と「降圧薬による治療」の二段階の治療

高血圧の治療は、生活習慣の修正(第一段階)と降圧薬による治療(第二段階)の二つに大きく分けられます。通常は生活習慣の修正から始めますが、血圧以外の危険因子が多い人や、血圧が特に高い場合(180/110mmHg以上)は直ちに降圧薬治療を開始します。

生活習慣の修正

塩分は1日 6g未満が目標です☆

先ほど述べたように、高血圧は塩分の過剰摂取が大きな原因となります。
平成23年の調査では、国民一人あたりの食塩摂取量は平均10.4g(男性11.4g、女性9.4g)でした。ガイドラインでは現在6g/日未満を目標としていますが、簡単な数字ではありません。

薬物療法

1.降圧薬にはどんな種類があるの?

最初に述べたように、血圧は、心臓が送り出す血液の量(心拍出量)と、それを流す血管の硬さ(末梢血管の抵抗)とで決まります。ですから降圧薬は、心拍出量を減らす薬、血管を広げる(拡張させる)薬、の大きく2つに分けることができます。前者の代表としては利尿薬やβ遮断薬が、後者の代表としてはカルシウム拮抗薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)などが挙げられます。この5種類のうちβ遮断薬を除いた4種類は、ガイドラインの中で第一選択薬(薬による治療の開始にあたり、最初に使用する薬)として推奨されています。これ以外にもα遮断薬、アルドステロン拮抗薬、レニン阻害薬など様々な種類があり、その人の高血圧の特徴や持病を考えながら選んでいきます。
どの降圧薬を、どのような病気の場合に積極的に使用するかについて、下記の表にまとめてあります。

Ca拮抗薬 ARB/ACE
阻害薬
サイアザイド系
利尿薬
β遮断薬
左室肥大
心不全 ※1 ※1
頻脈
(非ジヒドロビリジン系)
狭心症 ※2
心筋梗塞後
CKD (蛋白尿-)
(蛋白尿+)
脳血管障害慢性期
糖尿病/Mets※3
骨粗鬆症
誤嚥性肺炎
(ACE阻害薬)

※1 少量から開始し、注意深く漸増する
※2 冠れん縮性狭心症には注意
※3 メタボリックシンドローム

2.降圧薬は何種類も飲まないといけない?

降圧目標は人によって違うので、それぞれに合った目標値を立てて薬を開始することになります。もちろん1剤で済む場合もありますが、残念ながら1剤では、約3割の人しか降圧目標に達することができません。そのため、多くの場合は2剤、あるいは3剤と併用する必要があります。最初は1剤から開始して、徐々に増やしていくことが多いのですが、160/100mmHg以上の高血圧や、すでに心血管疾患の既往がある場合などでは、最初から2剤を併用することもあります。なお、最近では2種類の降圧薬を1剤にまとめた薬(合剤)もありますので、薬の数を減らしたい、飲み忘れを防ぎたい、といった場合にはかかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。

3.降圧剤は飲み始めるとやめられない?

降圧薬は、飲み始めたことが理由でやめられないのではありません。降圧薬はあくまで血圧を下げる薬であって、高血圧そのものを治す薬ではないため、服用をやめるとまた血圧が高くなってしまうことが多いのです。もちろん生活習慣を修正することにより、降圧剤をやめられる場合もあります。また冬期に比べて夏期に血圧が低下する場合は、夏の間だけ降圧薬を減量したり中止したりすることもあります。繰り返しになりますが、高血圧治療の目的は、あくまでも冠動脈疾患や脳血管疾患を防ぐことです。薬を飲み続けることで適正な血圧が維持できれば、このような合併症を防ぐことができます。決して自己判断でやめたりしないようにしましょう。