体質やリスクを把握した上で
設定する治療の目標値です
脂質異常症の診断基準は先に述べた通りですが、基準を超えたからといって必ずしも治療が必要になる訳ではありません。特にLDLコレステロールについては、それぞれの患者さんの背景(冠動脈疾患の既往歴を始めとして糖尿病、慢性腎臓病など動脈硬化を促進させる他の危険因子の種類と程度)を元にして、管理目標値を決定します。具体的には、まず下記のように各患者さんの管理区分を決め、それを元に各管理区分の脂質管理目標値を確認します。
なお、2022年7月に「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」が改訂されましたので、新しいガイドラインに基づいて図表を更新しました。
今回の主な改定点は以下の通りです。
1)随時(非空腹時)のトリグリセライド(TG)の基準値を設定しました。
2)動脈硬化性疾患のリスク評価法として久山町スコアを採用しました(吹田スコアから変更)。
3)二次予防の対象に冠動脈疾患だけでなくアテローム血栓性脳梗塞も含めました。
4)糖尿病におけるLDLコレステロールの管理目標値を一部見直し糖尿病合併症があれば一次予防でも100mg/dl未満としました。
脂質管理目標値診断
これを見ると、二次予防の人のLDLコレステロールの管理目標値は100mg/dL (70mg/dL) 未満となり、高LDLコレステロール血症の診断基準である140mg/dLよりもずっと低く保つ必要があることがわかります。一方で、他に危険因子を持たない (低リスク) 人の管理目標値は160mg/dL未満であり、必ずしも140mg/dLまで下げなくてもよいことになります。また低リスクの人に薬物治療を開始する目安は180mg/dLとされています。
なお40歳未満のかた、80歳以上のかたについては久山町スコアを使用することはできませんので、かかりつけ医にご相談ください。