高血圧管理・治療ガイドライン2025|松井医院|豊橋市の内科・循環器内科

愛知県豊橋市草間町東山93-1

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高血圧管理・治療ガイドライン2025

10月12日 (土) に休診をいただき、第46回高血圧学会総会に参加してきました。その中で2025年7月に6年ぶりの改訂が予定されている「高血圧管理・治療ガイドライン2025」(JSH2025) の草案が発表されました。発表を行った琉球大学の大屋祐輔病院長によると、高血圧診療に携わる医療者などに、薬物療法だけでなく生活習慣の管理を含む高血圧診療が重要であるという意識を持ってもらうため、名称を「高血圧治療ガイドライン2019 」(JSH2019) から「高血圧管理・治療ガイドライン2025」へ変更したとのことです。
基本方針と高血圧基準値の維持
JSH2025では国民および高血圧患者の血圧低下を実現するため、シンプルで分かりやすく、医師や患者の行動を変える内容を目指しています。
JSH2019から注目されていた高血圧の基準値140/90mmHg、合併症のない75歳未満の降圧目標130/80mmHg未満の数値は、今回も引き続き維持される方針のようです。欧米ガイドラインの降圧目標が低下傾向にある中で、日本国内では現行の目標を継続しつつ、対象者の条件を整理することで現場の診療での実用性を向上させる予定です。
治療ステップと薬物治療の位置づけ
JSH2025の草案では、主要降圧薬の位置づけはJSH2019から大きな変更はないものの、主要降圧薬を「GI a」「GI b」、病態に応じて追加が検討される薬剤を「GII」として分類しています。
降圧治療のステップは3段階で構成され、まず主要降圧薬での単剤療法を行い、目標が達成できない場合は迅速に2~3剤の併用を推奨しています。特にサイアザイド系利尿薬やβ遮断薬については、本来投与されるべき病態への使用頻度が少ないことが指摘されており、「GI b」として各病態に応じた適切な使用が推奨されています。また注目のARNI、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬 (MRA) は、「GII」としてSTEP 2から使用が検討されることとなりました。
生活習慣の管理と新たなガイドラインの導入
生活習慣においては、JSH2019と同じく減塩目標を6g/日未満に設定しています。新たに高血圧患者のための「尿ナトリウム/カリウム比」の目標設定も加えられ、スマートフォンアプリ、尿ナトリウム/カリウム比、食事/尿ナトリウム濃度測定デバイスなどの活用が降圧に有用とされています。
今後のスケジュール
SH2025は、2024年12月にパブリックコメントの募集を開始し、最終調整を経て2025年7月に発表される予定です。正式に発表されましたら改めてご紹介しますので、来夏までしばらくお待ちください。