「生活習慣の修正」と「降圧薬に
よる治療」の二段階の治療
高血圧の治療は、生活習慣の修正(第一段階)と降圧薬による治療(第二段階)の二つに大きく分けられます。通常は生活習慣の修正から始めますが、血圧以外の危険因子が多い人や、血圧が特に高い場合(180/110mmHg以上)は直ちに降圧薬治療を開始します。
生活習慣の修正
先ほど述べたように、高血圧は塩分の過剰摂取が大きな原因となります。
平成28年の調査では、国民一人あたりの食塩摂取量は平均9.9g(男性10.8g、女性9.2g)でした。この数値は年々低下傾向にありますがまだ高く、ガイドラインでは6g/日未満を目標としています。
それ以外にも野菜や果物を積極的に摂ること、適性体重(BMI25未満)の維持、毎日30分または週180分以上の運動を行うこと、飲酒や禁煙、ストレスの管理などが推奨されています。
薬物療法
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最初に述べたように、血圧は、心臓が送り出す血液の量(心拍出量)と、それを流す血管の硬さ(末梢血管の抵抗)とで決まります。ですから降圧薬は、心拍出量を減らす薬、血管を広げる(拡張させる)薬、の大きく二つに分けることができます。前者の代表としては利尿薬やβ遮断薬が、後者の代表としてはカルシウム拮抗薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)などが挙げられます。この5種類のうちβ遮断薬を除いた4種類は、ガイドラインの中で第一選択薬(薬による治療の開始にあたり、最初に使用する薬)として推奨されています。これ以外にもα遮断薬、アルドステロン拮抗薬、レニン阻害薬などさまざまな種類があり、その人の高血圧の特徴や持病を考えながら選んでいきます。
どの降圧薬を、どのような病気の場合に積極的に使用するかについて、下記の表にまとめてあります。
Ca拮抗薬 | ARB/ACE 阻害薬 |
サイアザイド系 利尿薬 |
β遮断薬 | |
---|---|---|---|---|
左室肥大 | ● | ● | ||
LVEFの低下した 心不全 |
●※1 | ● | ●※1 | |
頻脈 | ● (非ジヒドロビリジン系) | ● | ||
狭心症 | ● | ●※2 | ||
心筋梗塞後 | ● | ● | ||
蛋白尿/微量 アルブミン尿を 有するCKD |
● |
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降圧目標は人によって違うので、それぞれに合った目標値を立てて薬を開始することになります。もちろん1剤で済む場合もありますが、残念ながら1剤では、約3割の人しか降圧目標に達することができません。そのため、多くの場合は2剤、あるいは3剤と併用する必要があります。最初は1剤から開始して、徐々に増やしていくことが多いのですが、160/100mmHg以上の高血圧や、すでに心血管疾患の既往がある場合などでは、最初から2剤を併用することもあります。なお、最近では2種類の降圧薬を1剤にまとめた薬(合剤)もありますので、薬の数を減らしたい、飲み忘れを防ぎたい、といった場合にはかかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。
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