高血圧や糖尿病の治療なら豊橋市の松井医院へ

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日本循環器学会

4/25 (土)、26 (日) と日本循環器学会学術集会(以下、循環器学会)に出席してきました。循環器学会は循環器診療を行う医療関係者にとって最も権威のある学会で、内容も基礎から臨床まで非常に幅広く、かつ数多くの講演・シンポジウム・教育セッション・研究発表が企画されていました。参加できた時間は限られていましたが、その中で「Late Breaking Clinical Trial 2 (日本や韓国で行われた最新の臨床研究) 」、「New Oral Anti-diabetic Agents and Cardiovascular Protection (新しい経口糖尿病治療薬と心血管保護) 」、「LMTとCTOに対するPCI (左冠動脈主幹部病変と慢性閉塞病変に対するカテーテル治療) 」、「教育セッションIII  (心不全への対応とその標準治療) 」を聴講しました。
私個人としては、新しい糖尿病治療薬 (DPP-IV阻害薬やSGLT2阻害薬) が心血管に及ぼす効果についてのシンポジウムが特に興味深く、今後実臨床に役立てられる可能性を感じました。糖尿病は心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患を起こしやすいのですが、単に血糖値を下げるだけでなく、心臓や血管に対する効果を考えて治療薬を選ぶことができれば、将来心血管イベントを減らせる可能性は十分にあると思います。ただし、新しい治療薬にはまだエビデンス(証拠)が不足しているのも事実です。期待通りの結果が本当に得られるのか、できるだけ早くエビデンスが蓄積され、我々の元にフィードバックされることを期待しています。
また「Late Breaking Clinical Trial 2」の中で、豊橋ハートセンターの那須先生が冠動脈ステントに関する臨床研究の結果を発表されており、かかりつけ医としては頼もしい限りでした。これからも患者さんの治療に役立つ成果を挙げていただければと思います。

日本医学会総会

4 / 11 (土)、12 (日) と日本内科学会総会および日本医学会総会に出席してきました。特に医学会総会は、全ての学会の総元締のような存在で、4年に1回行われることになっています。第29回となる今年は、まだ桜がわずかに残る京都で開催されました。といっても観光をする余裕は全くなく、ずっと会場に缶詰状態で、特に産業医の研修を集中して受講して来ました。
産業医といっても聞き慣れない方がいらっしゃるかもしれませんが、企業などで労働者の健康管理等を行う医師のことを指します。私は大学病院に勤務していた頃に産業医の資格を取り、その後某企業の産業医を兼務していた経験があるのですが、この資格を更新するためには定期的に研修を受けなければならないのです。
今回の研修の中で特に興味を惹かれたのは、メンタルヘルスに関するシンポジウムでした。最近は企業で働く人々の中で、メンタルヘルスの不調を訴える人(うつや不眠など)が増加していることが社会問題となっています。私の診療所でも、様々な不調を訴えて来院される患者さんの中には、仕事上のストレスが原因と思われる場合がしばしば見受けられます。もちろん深刻な病状であればすぐに専門医(心療内科医や精神科医)へご紹介するのですが、比較的軽症な方であれば、内服薬の処方とともに、不調になった原因を見つけてどう対処するかを考えることになります(そもそもストレスが原因だとご本人が自覚していない場合もあります)。
今回の研修はあくまでも産業医側からの視点に基づくものでしたが、メンタルヘルス不調者の早期発見やその対処という点で、かかりつけ医としても役立つ内容が多かったと思います。最終的にはかかりつけ医と産業医との連携が必要で、職場の中で患者さんの肉体的・精神的負担をどうやって軽減するかが重要だと感じました。

東三医学会糖尿病勉強会

昨日は「第1回 東三医学会糖尿病勉強会」という研究会がありました。この研究会は、東三河地区の糖尿病患者さんが、どの医療機関を受診しても質の高い糖尿病診療が受けられるように、各医療機関の糖尿病診療力を高めることを目的として発足しました。私も世話人の一人として、その立ち上げに関わらせていただきました。
愛知県の中でみると、豊橋市は、健診で糖尿病(または糖尿病の予備群)を指摘される人の割合が高いことがわかっています。理由は幾つか考えられますが、近所へ出かける時も自家用車を使うため運動不足の人が多いことや、果物の産地であるため果物を摂りすぎている人が多いことなどが指摘されています。すなわち、豊橋を含めた東三河地区では、かかりつけ医が糖尿病をしっかりと診療できる体制を整えることが非常に重要となっているのです。
さて、第1回のテーマは「低血糖」でした。糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、治療によって血糖が下がりすぎるとかえって危険な場合があります。低血糖と聞くと、インスリン治療を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実際には飲み薬の糖尿病治療薬(経口糖尿病薬)が原因となっていることも多いそうです。
研究会では、実際の低血糖の実例(もちろん個人情報は保護されていますのでご安心を)や、低血糖を起こさないための経口糖尿病薬の使い方、さらには低血糖時の対処法に至るまで、豊橋医療センター・豊川市民病院・豊橋市民病院の各部長の先生方に教えていただきました。例えば、実際に低血糖が起きた際にはブドウ糖で10g、砂糖だと20gが必要であること、清涼飲料水の中ではコカ・コーラ(ダイエットではなくオリジナルのコカ・コーラ)がおすすめであること、チョコレートは油分が多く吸収が遅いためおすすめできないことなど、患者さんやその家族がその場でできる対処法を教えていただいたので、早速患者さんへの指導に使えそうです。
この「東三医学会糖尿病勉強会」は3〜4回/年で行われる予定です。今後も糖尿病診療を行う上で重要なテーマを取り上げていくつもりですので、乞うご期待を。
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