7/1 (土) は日本循環器学会東海地方会が名古屋で開催され、私も午前中の診療を終えてから参加してきました。通常の地方会では、各トピック別に別れた会場で一般演題を聴講することが多いのですが、今回は特に「医療安全・医療倫理に関する講演会」(DVDセッション) と「サテライト教育講演」を中心に聴講しました。
「医療安全・医療倫理に関する講演会」の単位は循環器専門医の更新に必須であり、5年間に最低1回は受けなければなりません。私はこの春に専門医資格を更新したばかりですが、早速2時間のDVDセッションを受講しました。もちろん必須の単位だからという面もありますが、こうやって改めて医療安全や医療倫理に関する意識を高めることも必要だなと感じながら聴講しました。
また今回の「サテライト教育講演」の講師陣は非常に豪華な顔ぶれでした。まず「最近のB型解離の治療方針」という演題名で社会医療法人大道会 森之宮病院 心臓血管外科部長の加藤雅明先生からご講演を頂いた後に、「わが国における心臓移植と補助人工心臓の現状と展望」という演題名で東京大学大学院医学系研究科 心臓外科学教授の小野稔先生からご講演を頂き、最後に「TAVRの現状と展望」という演題名で大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学教授の澤芳樹先生よりご講演を頂きました。加藤先生は大動脈ステントグラフト内挿術の世界的なエキスパートの一人ですが、今回は特にB型大動脈解離後のTEVAR (胸部大動脈ステントグラフト内挿術)治療について、最新の知見を解説していただきました。小野先生は重症心不全や補助人工心臓・心臓移植の権威ですが、わが国の現状についてわかりやすく解説していただきました。特に午前中に心臓移植の手術を終えられてこの講演に駆けつけたという話を聞いて、大変感銘を受けました。澤先生も重症心不全に対する再生治療(筋芽細胞シート)や心臓移植で大変ご高名な先生で、来年の日本循環器学会総会の会長を務められることが決まっています。今回はTAVR (経カテーテル的大動脈弁置換術) の現状について、最近の大規模臨床試験の結果を交えながら解説され、今後ますます適応が拡大する可能性があることを示していただきました。
今回の地方会は名古屋大学大学院医学系研究科 心臓外科教授の碓氷章彦先生が会長だったこともあるかと思いますが、心臓外科学の権威である先生方のご講演を一度に聞くことができる機会は滅多になく、大変有意義な学会参加となりました。碓氷教授をはじめ、ご講演を頂いた先生方に厚くお礼を申し上げます。