血管機能検査と形態学的検査
動脈硬化の検査には、血管の働き(血管機能)が落ちていないか(全身の動脈硬化が進んでいないか)を診る検査(血管機能検査)と、実際の動脈が細くなったり詰まったりしていないかどうかを診る検査(形態学的検査)があります。
血管機能検査
血管の働きが落ちていないか、全身の動脈硬化が進んでいないかを診る検査
形態学的検査
実際の動脈が細くなったり、詰まったりしていないかどうかを診る検査
血管機能検査
血管内皮機能検査(FMDなど) | 動脈硬化の初期段階を捉えることができます。検査手技がやや難しいため、従来はあまり行われていませんでしたが、最近は機器の進歩により比較的簡単に測定できるようになりました。 |
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脈波伝播速度(PWV) 心臓足首血管指数(CAVI) 増大係数(AI) |
心臓から伝わる脈の速さを診る検査で、比較的簡便に行えるため広く普及しています。 ただし、脈波は基本的に動脈の硬さの指標であり、必ずしもアテローム性動脈硬化を反映しないことに注意が必要です。 |
足関節上腕血圧比(ABI) | 下肢の動脈硬化が進んでいないかを診る検査で、簡便かつ有用な検査です。 原理は簡単で、足(足首)と腕(上腕)の血圧を同時に測定し、その比をとります。 通常は足首の血圧の方がやや高いので、比は1を越えることが多く(正常範囲は0.9〜1.3)、もし0.9を下回る場合は下肢へ血液を送る動脈が狭くなっている可能性が高くなります。 |
頸動脈エコー | 頸動脈が狭くなっているかどうかを診ることができるという点では形態学的検査と言えますが、 内膜と中膜を合わせた壁の厚み(内膜中膜複合体厚:IMT)を測定することで、全身のアテローム性動脈硬化の進行度を評価することができます。 |
形態学的検査
エコー(超音波):特に頸動脈や下肢動脈 | 体への負担(侵襲度)が少ない反面、体表面から比較的浅い血管しか描出できません。 |
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CT:特に冠動脈や大動脈 MRI・MRA:特に脳・頸動脈、大動脈~下肢動脈 |
侵襲は少ないのですが、造影剤を必要とする場合もあり、腎機能が悪い場合やアレルギーがある場合には注意が必要です。 |
血管造影:全ての動脈(ABI) | 最も信頼性の高い検査ですが、動脈の中にカテーテルという細い管を入れて検査を行うため、侵襲度の高い検査です。また造影剤も必要になります。 |
血管内超音波:特に冠動脈 血管内視鏡:特に冠動脈 |
単独で行う検査ではなく、血管造影を行う際に同時に行うもので、やはり侵襲度の高い検査と言えるでしょう。 |