豊橋内科医会|松井医院|豊橋市の内科・循環器内科

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豊橋内科医会

7/14 (木) の豊橋内科医会研修会は、「これからの糖尿病治療」という演題名で、洪内科クリニック院長の洪尚樹先生にご講演を賜りました。洪先生は糖尿病領域では大変ご高名な先生で、豊橋にも過去に数回お越し頂いていますが、今回は特に動脈硬化を克服するための糖尿病治療に焦点を当てて、ご講演いただきました。
洪先生は、まずこれまでの糖尿病治療の目的が細小血管障害である網膜症・腎症・神経障害を予防することであり、これについてはほぼ達成可能なところまで来ていることを概説されました。その上で、これからの糖尿病治療戦略として如何に動脈硬化を予防するかが重要であると強調され、そのための治療薬に求められる条件として、①単独で低血糖を起こさないこと、②食後高血糖を改善すること、③高インスリン血症を改善すること、④脂質代謝異常を改善すること、⑤肥満を解消すること、が重要であると解説していただきました。
また、これらを踏まえた上でEMPA-REG OUTCOME試験の結果に触れられ、SGLT2阻害薬の持つ可能性について言及されました。EMPA-REG OUTCOME試験については、6月のアメリカ糖尿学会でサブ解析の結果が発表され、腎機能を改善する可能性も指摘されていることから、今後ますますSGLT2阻害薬の重要性が増すだろうと思われます。また、同時期に発表されたLEADER試験にも触れられ、GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドが心血管イベントを抑制する可能性について解説していただきました。ただしLEADER試験で使用されたリラグルチドは約1.8mg/日であり、日本での承認用量 (0.9mg/日) とは異なっている点に注意する必要がありそうです。
最後に、洪先生は動脈硬化を予防するための糖尿病治療薬としてチアゾリジン薬、SGLT2阻害薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド薬を挙げられ、これらを上手に組み合わせることで、動脈硬化の発症・進展を克服できるのではないかと解説していただきました。洪先生のご講演は、いつも切れ味が鋭く核心を突いた内容で感銘を受けるのですが、今回も最新の大規模臨床試験の結果を踏まえつつ、大変わかりやすい内容となっていました。洪先生、本当にありがとうございました