今回はいつもと若干趣を変えて、インフルエンザワクチン予防接種講習会についてご紹介したいと思います。豊橋市医師会では毎年この時期に、10月から始まる高齢者インフルエンザワクチン予防接種に関する講習会を開催しています。予防接種を行う医療機関は、原則として全て出席することが義務づけられており、出席しない場合は公費を利用した予防接種を行うことが出来ないという厳しいルールがあります。しかし、そのおかげで皆がインフルエンザに関する最新の情報や知識を共有でき、安全かつ正しい予防接種を行える訳ですから、非常に重要な講習会とも言えるのではないでしょうか。
毎年この講習会には、ワクチン研究に関する大変ご高名な先生が来られるのですが、今年 (7/30) も「インフルエンザの疫学研究 〜ワクチンの有効性評価や異常行動の関連因子を例に〜」という演題名で、大阪市立大学大学院 医学研究科 公衆衛生学教授の福島若菜先生にご講演を賜りました。
疫学というと、我々かかりつけ医にとってはやや馴染みの薄い学問ですが、福島先生は「疫学とは」から始まり、「疫学と統計学との違い」や「ワクチンの効果をどのように評価するか」、さらには「インフルエンザワクチンの有効性評価方法」について大変熱心にご講演され、特に「test-negative design」という評価方法についてご自身のデータを交えて解説していただきました。それにしても、一つのワクチンの有効性を調査・評価することがどれだけ大変であるかということを改めて知りました。
先生は最後に、自ら厚生労働省の研究班のメンバーとして行った、タミフル内服による異常行動・異常言動に関する調査班の研究結果にも触れられて講演を終了されましたが、私自身、大規模臨床研究を理解する上で疫学的手法を理解することが大変重要だと実感していることもあり、今回のご講演内容を大変興味深く拝聴しました。福島先生、本当にありがとうございました。
なお本年度(平成28年度)の豊橋市高齢者インフルエンザワクチン予防接種は、10/11 (火) から始まる予定です。