2/2 (木) には第1回 Toyohashi Heart Failure Conference が豊橋ハートセンター内のハートホールにて開催されました。この会はハートセンターの寺島先生と市内のかかりつけ医数名が中心となって、心不全患者さんの病診連携を考える会として始めたものです。ハートセンターでは数年前から多職種 (医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等) による心不全チームを結成し、慢性心不全の治療にあたっていることは以前にも述べましたが、今回は一般演題として病診連携・チーム医療の実例を紹介するとともに、特別講演として「高齢者心不全治療の話題 −チーム医療を含めて−」という演題名で兵庫県立尼崎医療センター循環器内科部長の佐藤幸人先生にご講演を賜りました。
私は一般講演の座長をさせていただいたのですが、まず1題目では心嚢液貯留による心不全患者さんの一例が提示され、紹介から診断・治療に至る一連の経過を、弥生病院の渡辺先生およびハートセンターの横井先生にそれぞれの立場から紹介していただきました。2題目では慢性心不全看護認定看護師である五十嵐さんから、心不全チームとして関わることによって入院回数を著しく減らすことができた慢性心不全患者さんの一例を提示していただき、さらに外来でのカテコラミン点滴やカルペリチド点滴など、先進的な取り組みも紹介していただきました。病診連携を円滑に行って行くためにはこのような症例検討の場が是非必要だと思われますので、今後も引き続き行っていただきたいと思います。
さて特別講演の佐藤先生ですが、ご存知の様に心不全治療の分野では大変ご高名な先生で、私も日経メディカルの連載や先生の著書を度々拝見していたことから、今回のご講演を大変楽しみにしていました。そのご講演は期待に違わぬ大変素晴らしいもので、チーム医療や病診連携のあり方、さらには昨年10月に出された「高齢心不全患者の治療に関するステートメント」の紹介や末期心不全患者さんに対する終末期医療に至るまで、幅広い内容をわかりやすく教えていただきました。特に心不全患者さんの終末期医療に関しては、心不全という疾患 (症候群といった方が適切かもしれません) の予後が決してよくないこと (一度心不全を起こした患者さんの5年生存率は50%程度しかなく、これは乳がんや大腸がんの患者さんの5年生存率とほぼ同じ数字です) を、もっと世間一般の方々に周知し理解を深めてもらうことが重要であると痛感しました。
超高齢化社会を迎えて今後益々増加するといわれている心不全患者さんの治療を地域の中でどのように連携して行っていけばよいのか、今後も1−2回/年の割合で会を行い考えていきたいと思います。