今年最初の東三学術講演会は、1/20 (水) に「中高年の肩痛・肩こりの診かた・治し方」という演題名で、愛知医科大学医学部 整形外科 教授の岩堀裕介先生にご講演を賜りました。今回のように東三学術講演会は、内科に限らず幅広い分野の先生方から話を聴くことができるので、全く新しい知識を得られる大変貴重な機会だと思います。
まず岩堀先生は、内科医にも理解しやすいように肩関節の構造についてわかりやすく解説していただきました。その後肩痛を呈する代表的な疾患について、その病態や診断、治療について詳しく教えていただきました。私個人としては、いわゆる「五十肩」について、最近は「凍結肩」という用語を用いるということを恥ずかしながら初めて知りました。また凍結肩では血管造影を行うとburning signと呼ばれる異常血管が認められること、この正体はA-V shuntであり病変部位の低酸素に関係していること、異常血管の周囲には疼痛受容体が多く分布し痛みに関与している可能性があること、この異常血管が関節包の肥厚や拘縮に関与している可能性があること、さらにこの血管をカテーテルで塞栓する治療法が試みられていることなど、最新の知見も教えていただき大変興味深く拝聴しました。さらに、凍結肩以外にも石灰沈着性腱包炎や腱板断裂などについても解説していただいたのですが、岩堀先生の診療に対する真摯な姿勢がダイレクトに伝わってくる講演でした。先生は適切なリハビリを非常に重要視されており、肩疾患に精通した理学療法士と協力して保存療法を行います。さらには薬物療法や注射などを組み合わせて治療を行い、症状が改善しない場合や何らかの理由で早急に治療する必要がある場合は手術を選択しますが、やみくもに手術を行うことはしないとのことです。もちろん先生は手術の腕も超一流なのですが、一人一人の患者さんの状態や希望に応じて治療を行う姿勢に大変感銘を受けました。ただあまりにも肩痛の講演に時間がかかってしまったため時間切れとなり、肩こりの話が聴けなかったのが唯一残念でした。
実は岩堀先生は私の大学時代の部活の3年先輩であり、懇親会では大学時代の思い出話も含めて大変楽しい時間を過ごすことができました。今回聴けなかった肩こりの話も別の機会に必ずお話ししいただけるとのことですので、楽しみに待ちたいと思います。岩堀先生、本当にありがとうございました。