11/12 (木) の豊橋内科医会は、「気管支喘息治療におけるSMART療法の有用性」という演題名で、東京女子医科大学・内科学第一講座の玉置淳教授にご講演を賜りました。玉置先生は喘息やCOPD治療の第一人者で、非専門医である我々かかりつけ医にもSMART療法が理解できるよう、わかりやすく解説していただきました。
現在の気管支喘息治療は、吸入ステロイド (ICS) もしくはICS/長時間作用型気管支拡張剤 (LABA) の配合剤が標準治療薬として広く使用されています。その結果、気管支喘息のコントロールは以前に比べて著しく改善したのですが、それでも発作時には短時間作用型の気管支拡張剤 (SABA) を別に吸入する必要があります。つまり患者さんは、普段使用する吸入薬 (controller) と発作時に使用する吸入薬 (reliever) の二つを使い分ける必要があるわけです。
しかしSMART療法は、ブデソニド/ホルモテロール配合剤 (ICS/LABA配合剤) を普段の治療だけでなく、発作時にも使用する治療法です。これによって患者さんはSABAを別途持参する必要がなくなります。さらにSMART療法は、発作時にSABAを使用する今までの標準治療に比べて、発作が増悪する回数を減らすことや、患者さんのQOLを改善させることなどが報告されており、非常に有用な治療法であると言えるでしょう。
ただしSMART療法は、患者さん自身で吸入の回数を調整する必要があるため、患者さんの深い理解が必要です。そうでないと吸入回数がいたずらに増えてしまったり、逆に定期の吸入をせずに頓用の吸入だけになってしまったりしかねません。我々医療者の十分な吸入指導と患者さんの深い理解が、SMART療法という新しい喘息治療法の成功の鍵となりそうです。