11/30 (水)には東三学術講演会が行われました。今回の講演会は「糖尿病勉強会」の第7回にあたるもので、テーマは「動脈硬化を見つけるために」でした。ご存知のように糖尿病患者さんは大血管障害(脳卒中や心筋梗塞など)の発症率が高く、糖尿病でない人に比べて2〜4倍発症しやすいと言われています。すなわち糖尿病患者さんでは、どうすれば動脈硬化の進行度を適切に評価できるかが重要なテーマとなってきます。今回は僭越ながら私も「かかりつけ医でできる動脈硬化評価法」という演題名で発表させていただきました。
講演では、まず「動脈硬化とは」という話から始めさせていただきました。我々は普段から動脈硬化という言葉をよく使いますが、いざその定義は?と聞かれると、答えに窮する人が案外多いのではないでしょうか。ここでは中山書店の「内科学書 改訂第8版」に記載されている「血管壁の肥厚、硬化、改築および機能低下を示した動脈硬化病変の総称」という定義を使用しましたが、動脈硬化を評価する方法は、この中の「硬化、機能低下」を診る検査(血管機能検査)と「肥厚、改築」を診る検査(形態学的検査)の、大きく2つに分けられるのではないかと思います。今回は時間の制約もありましたので、血管機能検査ではFMD、RH-PAT (以上血管内非機能検査)、baPWV、CAVI (以上動脈スティフネス検査)、ABIの5つを紹介させていただきました。また形態学的検査では「かかりつけ医でできる」というテーマに基づき、頸動脈エコー検査のみ紹介させていただきました。さらに各検査のメリットとデメリットを、①エビデンスの存在、②簡便性、③再現性、④コスト、という4つの観点から私なりに評価し、私見を述べさせていただきました。講演内容につきましては不十分な点も多々あったかと思いますが、参加された先生方の日常診療に少しでも役立てば幸いです。