少し前になりますが、7/29 (日)に「第1回高血圧診療マスタークラス講習会」が東京で開催され、私も参加してきました。この講習会は日本高血圧学会が主催するもので、高血圧診療に関する標準的な知識や最新情報を提供するための試みとして、初めて開催されました。第1回の定員は100名で、比較的少人数の参加者を対象に、9:30から昼食休憩を挟んで16:40まで (!) みっちり講習が組まれていました。必ずしも高血圧診療を専門にしない医師も対象となっていたため、参加者の構成としては約半数が高血圧学会の会員、残りの半数が非会員だったようです。
肝心の内容は、専門外の先生も対象にしているとはいえなかなか濃密で、私自身としては高血圧診療に関する知識のブラッシュアップに大変役立ちました。実際のプログラムは「知っていると得する疫学と分類・評価・目標」、「これだけは押さえたい降圧薬療法の実際」、「二次性高血圧、治療抵抗性高血圧をどうするか?」、「患者を惹きつける生活習慣指導 (減塩と運動のコツ)」の4部構成で、それぞれが90分間の講義形式でした。講師陣はご高名な先生方ばかりでしたが、少人数の講習会だったこともあり比較的和やかな雰囲気の中で行われたという印象です。個人的には東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科学教授の市原淳弘先生が話された二次性高血圧のご講演が大変役立ちました。私も比較的年齢の若い高血圧患者さんが初診で来られた際には、念のため二次性高血圧のスクリーニング検査を行うことが多いのですが、原発性アルドステロン症の検査の中でアルドステロン/レニン比 (ARR)>200かつアルドステロン濃度≧170の場合にはアルドステロン産生副腎腺腫 (手術が可能) である可能性が高いことを教えていただきました。また褐色細胞腫のスクリーニング検査では、血漿フリーメタネフリンが最も優れているにも関わらず残念ながら保険未収載のため行えないこと、現時点では随時尿メタネフリン・ノルメタネフリンがbetterであること (ただしクレアチニン補正が必要) なども新しい知識として吸収することができました。
今後マスタークラス講習会は2回/年ずつ行われる予定のようです。今回は前半の4講座が終了しましたが、来年2月開催予定の第2回講習会で後半の4講座を全て受講すると講習会修了証を申請できるとのことです。ちなみに残りの4講座とは「診療のポイント〜お勧めの検査とその読み方〜」、「合併症のある高血圧と高齢者高血圧診療の極意」、「挙児希望、妊娠、授乳、閉経期の女性が来院したら・・・」、「最新診療 (遠隔診療、遺伝子診療、腎除神経、サプリメントについて)」だそうです。いずれも興味深いタイトルばかりですので、今から来年2月の予定を空けておく必要がありそうです。