5/31 (水) には東三学術講演会が行われました。今回の講演会は「糖尿病勉強会」の第9回にあたるもので、テーマは「シックデイ」でした。シックデイという言葉は知っていても、具体的にどのような状況をシックデイと呼ぶのか、あるいはシックデイの際にどのように対応すべきかを的確に答えられる非専門医は少ないのではないかと思います。今回のプログラムは、15〜20分程度の演題2題に加えてパネルディスカッション (症例提示2例と質疑応答) を行うことで、シックデイに対する理解を深めようとするものでした。
まず「演題1」は、豊橋市民病院の山守先生から「シックデイ管理の基本」というテーマでご講演をいただきました。山守先生は、我々非専門医でも理解できるように、「シックデイとは」という定義から始めて「なぜ高血糖に傾くか」や「低血糖に傾くこともある」、「食事量摂取量減少の悪影響」などについてわかりやすく解説していただきました。後半は「シックデイの食事摂取」や「インスリンの調整」、「内服薬の用量調整」、「入院治療の適応」など具体的な対応方法も教えていただきました。個人的には、38度以上の発熱時にはインスリン量を5割増しにすることや、食事量が安定していないうちは食後打ちで構わないことなど、特にインスリンの調整に関する内容が大変勉強になりました。
続いて「演題2」では、杢野医院の杢野先生から「シックデイを知ってもらえるために・・・パンフレットによる啓発を考える」というテーマでご講演をいただきました。現在種々の製薬メーカーが糖尿病に関するパンフレットを作成していますが、シックデイに関するものも10種類近くあることを紹介していただきました。また杢野先生は「シックデイについて患者さんに知ってもらいたいポイント」として、① 体調不良時に注意する、② 血糖コントロールが良くても起こりうる、③ 急速に症状が悪化することもある、④ 症状のこまめなチェックが必要、⑤ 早めに主治医・医療機関に連絡をとる、の5点を挙げられました。さらに「シックデイ時に患者さん自身で行う対応」についても、① 保温・安静、② 水分・ミネラル、糖質の補給 (スープ、ソフトドリンク類など)、③ セルフチェック (検温・血圧・血糖値・食事量など)、④ 医療機関との連絡、の4点を挙げられました。こういった知識を患者さんに知ってもらうためには、普段 (体調が良いとき) から我々医療者が積極的に啓蒙を行って行くことが重要だと強く感じました。
最後にパネルディスカッションとして、私 (松井) と光生会病院の山口先生から症例提示を行いました。私の発表は「自宅で転倒後に嘔気・嘔吐が出現し、インスリンを必要とした1症例」で、入院が必要か否か、インスリンの内容と投与量をどうするか、悩みながら行った経験について紹介させていただきました。その後の質疑応答で専門医の先生方から様々なご意見をいただきましたので、私自身大変勉強になりましたし、この発表が参加された先生方のご参考になれば幸いです。
今回の「糖尿病勉強会」も大変盛況で、70名を超える出席がありました。今後もかかりつけ医にとって有益な内容を提供できるよう、世話人の一人として頑張りたいと思います。