高血圧や糖尿病の治療なら豊橋市の松井医院へ

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東三医学会

3/2 (土) には第41回東三医学会が開催されました。この会は東三河医師会連合が主催して行われるもので、毎年3月の第1土曜日に開催されています。普段行われている東三学術講演会とは異なり製薬メーカーの共催はなく、文字通り東三河の医師たちが一から作り上げている学会形式の会で、私も数年前から準備会のメンバーとしてプログラムの作成や当日の進行に携わらせていただいています。
例年東三河地域の病院や診療所から25題前後の演題応募がありますが、今年も26題の応募が集まりました (残念ながら1題は発表の先生が体調不良のため取り下げとなり、実際の発表は25題でした)。今年は例年以上に参加者が多く、参加者総数は100名を超えました。それに伴いdiscussionも活発に行われ、例年以上に活気のある会となりました。
東三医学会の良い点はたくさんあるのですが、何と言っても東三河地区の様々な医療機関の発表を一度に聴ける点が挙げられます。中でも豊橋市民病院や豊川市民病院といった基幹病院の発表を聴くと、専門以外の診療科でどのような最新治療が行われているのかがわかるので、自院の患者さんを紹介する際に大変参考になります。
また自院では遭遇しないような希少疾患の診断・治療についての発表を聞くと、改めて診断の難しさや医療の奥深さを思い知らされます。我々は普段から頻度の高い疾患をまず念頭において病気の鑑別診断を行っています。もちろんその方が効率よく診断できることが多いのですが、一方でこの思考を毎日繰り返していると、知らないうちにアベイラビリティー・バイアス(よく見る病気を真っ先に考えるため推論に歪みが生じること)を引き起こしてしまう危険性が高くなります。特に頻度は低いものの決して見逃してはいけない疾患(レッドフラッグと呼ばれています)を確実に診断できるように、普段から自分自身に「たゆまぬ監視の眼(incessant watch)」を向ける必要があると強く感じました。また、東三河には診療所でも専門性の高い診療を行っている医療機関がたくさんあります。今年は耳鼻咽喉科と脳神経外科の医療機関からそれぞれ発表があり、私自身も大変刺激を受けました。
なお今回は田原市医師会が当番でしたが、次回は蒲郡市医師会が当番で3/7 (土) に開催する予定です。来年度も今回以上に多数の演題応募ならびに多数の先生のご参加をお願いいたします。

第2回高血圧診療マスタークラス講習会

年末年始のためか、12月下旬から1月中旬にかけて研究会の開催も少なくなっていましたが、1月下旬からは普段通り週1〜2回の割合で研究会や講習会に参加しています。そんな中、2/17 (日) には「第2回高血圧診療マスタークラス講習会」が東京で開催され、私も出席してきました。以前にもお伝えしましたが、この講習会は高血圧診療に関する標準的な知識や最新情報を提供するために日本高血圧学会が主催しています。第1回は昨年7月に行われ、前半の4講座はすでに修了していましたが、今回は後半4講座を聴講し、無事全8講座を修了することが出来ました。
今年は5年に1回の高血圧ガイドライン改定年に当たっているため、講習会でも新ガイドラインの詳しい話が聞けるのではないかと期待していましたが、4/19の正式発表までは詳細を公表することは出来ないそうで、若干肩透かしを食った感じでした。とは言え、今回のプログラムも「診療のポイント〜お勧めの検査とその読み方〜」、「最新診療 (遠隔診療、遺伝子診療、腎除神経について) 」、「合併症のある高血圧と高齢者高血圧診療の極意」、「挙児希望、妊娠、授乳、閉経期の女性が来院したら」と盛り沢山で、高血圧診療に関する知識のブラッシュアップに大変役立ちました。個人的には旭川医科大学 循環・呼吸・神経病態内科学教授の長谷部直幸先生(長谷部先生は昨年の日本高血圧学会総会の会長を務められた重鎮です)がお話しされた「合併症のある高血圧と高齢者高血圧診療の極意」の講座が特に印象に残りました。先生お得意の川柳を交えながらのご講演はいつもながら大変面白く、かつ役立つ知識が満載でした。例えばSPRINT試験で行われたAOBP (自動診察室血圧測定) という方法と、我々が普段診察室で行なっている血圧測定ではどのくらい値が異なるのかを実際に調べられ、診察室血圧の方が10/4mmHg高いことを教えていただきました。このことはSPRINT試験で推奨されている120/80mmHgという血圧値を普段の診療に当てはめると130/84mmHgに相当することを意味します。それ以外にも、高血圧がI度、II度、III度と進展するにつれて心血管疾患のリスクが3倍、6倍、9倍と上昇することや、CKD (慢性腎臓病) では血圧を130/80mmHg未満に下げるとその進展抑制が期待できること、ACCORD-BP試験のpost-hoc解析から糖尿病患者でも積極的降圧治療の有効性が期待できること、など明日からの診療にすぐに利用したい内容ばかりでした。
全8講座を修了すると「講習会修了証」が頂けるそうなのですが、有効期間は4年間とのことです。さらに更新をするためには、今後も日本高血圧学会総会や臨床高血圧フォーラムに定期的に参加することが求められます。引き続き最新の情報を得て最良の高血圧治療が出来るように努めたいと思います。

豊橋循環器疾患研究会

10/30 (火) には豊橋循環器疾患研究会が開催されました。この会には「循環器疾患」という名称がついていますが、主に循環器内科を専門とするかかりつけ医が集まって、糖尿病治療について勉強するために企画されたものです。今回は「2型糖尿病治療の薬物療法:第一選択薬は?」という演題名で朝日生命成人病研究所附属病院 糖尿病内科治験部長の大西由希子先生からご講演を賜りました。大西先生はもちろん糖尿病専門医としても非常にご高名なのですが、同時に3人のお子さんを育てながら臨床の第一線で活躍されているということで、糖尿病学会のホームページ上 (女性糖尿病医サポートの取り組み) で紹介されたり、様々なマスコミにも登場されるなど大変ご活躍中の先生です。
まずご講演では、我々が日常よく遭遇するような代表的な症例を3例 (① メタボリックシンドローム合併患者、② 独居高齢患者、③ 著しい高血糖患者) 挙げられ、それぞれの症例にどのような薬剤を選択すれば良いかを、最新のエビデンスを交えながら大変わかりやすく解説していただきました。
ご講演を拝聴した後には、discussionの時間を30分ほど設けていただきました。かかりつけ医の先生には事前にアンケートを取らせていただき (① 糖尿病治療を行っている患者さんの中で心血管イベントの既往歴を有する患者さんは何%程度か、② 糖尿病治療における薬剤選択の際に特に重要視している点は何か、③ 実際に第一選択薬として最も使用している薬剤は何か)、そのアンケート結果を基にしてdiscussionを進めたのですが、我々だけでは心もとないため、糖尿病専門医である杢野武彦先生にも研究会に参加していただきました。その結果、我々が普段疑問に思っている点や治療に関して迷っている点について大西、杢野両先生からコメントをいただくことができ、大変充実したdiscussionになったと思います。
大西先生とは会が始まる前の雑談の中で、普段の仕事内容からお互いの子育てのことまで楽しくお話をさせていただきました。先生のますますのご活躍を祈念しております。

JAPAN CARDIOLOGY CLINIC Network

1ヶ月ほど前になりますが、心臓病学会学術集会の開催に合わせた9/8 (土) に「JAPAN CARDIOLOGY CLINIC Network」の懇親会が大阪で開催され、私も参加してきました。本会は、日本全国で地域医療を支えている循環器クリニックの情報交換やネットワーク作りの場として企画され、「医療法人社団ゆみの」の弓野大先生と「大西内科ハートクリニック」の大西勝也先生が発起人となって今回実現したものです。当日は全国各地から約30名の先生が集まり、様々な話題で盛り上がりました。長い間大学病院や地域の基幹病院で循環器専門医として活躍されていた先生が多く、クリニックを継承するために実家に戻られたり、あるいは地域の循環器診療を担うために開業されたという経緯が数多く聞かれました。お互いBackgroundが近いせいか話も合いやすく、地域の循環器診療のレベルをどう保っていくか、今後爆発的に増加するであろう心不全患者さんの在宅管理をどのように行っていくか、など活発な意見交換を行うことが出来ました。今後は循環器学会や心臓病学会の日程に合わせて継続して懇親会を開催していく予定とのことでした。次回以降も可能な限り参加させていただき、全国の循環器クリニックのネットワーク構築に微力ながら協力したいと思います。

高血圧診療マスタークラス講習会

少し前になりますが、7/29 (日)に「第1回高血圧診療マスタークラス講習会」が東京で開催され、私も参加してきました。この講習会は日本高血圧学会が主催するもので、高血圧診療に関する標準的な知識や最新情報を提供するための試みとして、初めて開催されました。第1回の定員は100名で、比較的少人数の参加者を対象に、9:30から昼食休憩を挟んで16:40まで (!) みっちり講習が組まれていました。必ずしも高血圧診療を専門にしない医師も対象となっていたため、参加者の構成としては約半数が高血圧学会の会員、残りの半数が非会員だったようです。
肝心の内容は、専門外の先生も対象にしているとはいえなかなか濃密で、私自身としては高血圧診療に関する知識のブラッシュアップに大変役立ちました。実際のプログラムは「知っていると得する疫学と分類・評価・目標」、「これだけは押さえたい降圧薬療法の実際」、「二次性高血圧、治療抵抗性高血圧をどうするか?」、「患者を惹きつける生活習慣指導 (減塩と運動のコツ)」の4部構成で、それぞれが90分間の講義形式でした。講師陣はご高名な先生方ばかりでしたが、少人数の講習会だったこともあり比較的和やかな雰囲気の中で行われたという印象です。個人的には東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科学教授の市原淳弘先生が話された二次性高血圧のご講演が大変役立ちました。私も比較的年齢の若い高血圧患者さんが初診で来られた際には、念のため二次性高血圧のスクリーニング検査を行うことが多いのですが、原発性アルドステロン症の検査の中でアルドステロン/レニン比 (ARR)>200かつアルドステロン濃度≧170の場合にはアルドステロン産生副腎腺腫 (手術が可能) である可能性が高いことを教えていただきました。また褐色細胞腫のスクリーニング検査では、血漿フリーメタネフリンが最も優れているにも関わらず残念ながら保険未収載のため行えないこと、現時点では随時尿メタネフリン・ノルメタネフリンがbetterであること (ただしクレアチニン補正が必要) なども新しい知識として吸収することができました。
今後マスタークラス講習会は2回/年ずつ行われる予定のようです。今回は前半の4講座が終了しましたが、来年2月開催予定の第2回講習会で後半の4講座を全て受講すると講習会修了証を申請できるとのことです。ちなみに残りの4講座とは「診療のポイント〜お勧めの検査とその読み方〜」、「合併症のある高血圧と高齢者高血圧診療の極意」、「挙児希望、妊娠、授乳、閉経期の女性が来院したら・・・」、「最新診療 (遠隔診療、遺伝子診療、腎除神経、サプリメントについて)」だそうです。いずれも興味深いタイトルばかりですので、今から来年2月の予定を空けておく必要がありそうです。
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